多結晶シリコン型太陽電池モジュールとは
ここでは、多結晶シリコン型太陽電池モジュールについて詳しくご説明していきます。多結晶シリコン型の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
多結晶シリコン型とは
多結晶シリコン型とは、結晶の粒径が数ミリ程度の多結晶シリコンを利用した太陽電池で、他のシリコン半導体製品の端材や、オフグレード品(規格外品)のシリコン原料を活用して製造することができるため、高純度のシリコンを大量に利用する単結晶シリコン型よりも製造にかかるエネルギーやコストが少なく済みます。
単結晶シリコン型と比較すると、面積当たりの変換効率は落ちるものの、そこまで大幅な違いがあるわけではなく、エネルギー収支の観点からは優れたモジュールとなっています。
多結晶シリコン型はコストと性能のバランスが良いため、現在の住宅用太陽電池モジュールの主流となっています。最近ではウエハ(シリコンを薄い板状に切断したもの)を薄型化することにより更にコスト削減を進めつつ、セル構造の工夫により単結晶シリコン型と同程度まで変換効率を高める技術革新が進んでいます。
多結晶シリコン型のメリット
多結晶シリコン型のメリットとしては、下記が挙げられます。
- 製造コストが低い
- 大量生産に向いている
多結晶シリコンは単結晶とは違い端材やオフグレード品のシリコンを活用して製造ができるため、製造コストを抑えることができ、大量生産に向いています。面積あたりの変換効率は単結晶シリコンと比較すると落ちるものの、その分モジュール1枚あたりの単価も安いため、屋根が広く、設置枚数の多さにより発電量をカバーできる住宅には向いていると言えます。
多結晶シリコン型のデメリット
多結晶シリコン型のデメリットとしては、下記が挙げられます。
- 変換効率は低い
- 高温になると発電効率が下がる
多結晶シリコンは単結晶シリコンと比較すると純度が落ちるため、変換効率が悪いデメリットがあります。また、単結晶シリコンと同様、高温になると発電効率が下がるというデメリットはあります。
多結晶シリコン型の取り扱いメーカー
多結晶シリコン型の太陽電池モジュールを取り扱っている代表的な太陽光発電メーカーとしては、下記が挙げられます。多結晶シリコン型太陽電池モジュールの変換効率向上に向けた競争では京セラと三菱電機、シャープなどが凌ぎを削っていますが、現状、多結晶シリコン型において業界を大きくリードしているのは京セラです。
京セラは2012年3月には量産可能なレベルで業界最高となる17.8%という変換効率を誇る多結晶シリコン型太陽電池モジュール「Gyna(ガイナ)」を発表しています。
材料の京セラは取り扱う太陽電池モジュールを多結晶シリコン型に絞り、シリコン粒子からセルまでを一貫して量産できる体制を整えているため、国内の競合他社よりも利益率が高く、多結晶シリコン型におけるリーディングカンパニーとなっています。
多結晶シリコン型は、シリコン価格の高騰によるコスト優位性の下落や、ハイブリッド型(HIT型)の登場などにより徐々に曲がり角となってはいるものの、現状の住宅用太陽電池モジュールでは主流であり、今後もしばらくはその状況が続くと予想されています。
市場における主流のモジュールでもありますので、薄膜化によるコストダウンを追求するシャープや、発電効率やデザイン性を磨く京セラなど、引き続き大手メーカー各社の差別化競争は続いていきそうです。