アモルファスシリコン型太陽電池モジュールとは
ここでは、アモルファスシリコン型太陽電池モジュールについて詳しくご説明していきます。アモルファスシリコン型は産業用がメインであり住宅用の太陽電池モジュールとして普及はしていませんが、住宅用でもハイブリッド型(HIT型)太陽電池モジュールなどに用いられています。
アモルファスシリコン型とは
アモルファスシリコン型とは、非結晶シリコンのことを指します。「アモルファス」とは「無定形の」という意味であり、非晶質、非結晶のことを指しています。アモルファスシリコンの原子配列は、素材原子が規則正しく配列されている結晶シリコンとは異なり、不規則に配列されています。
そのため、アモルファスシリコンは結晶シリコンと比較するとより多くの光を吸収することができるため、太陽電池モジュールを薄膜化することが可能となります。
そのため、形態としては薄膜シリコン型太陽電池に分類されます。
アモルファスシリコン型のメリット
アモルファスシリコン型のメリットとしては、下記が挙げられます。
- コストが安く、大量生産が可能
- 高温時でも発電効率が低下しにくい
アモルファスシリコン型は薄膜化が容易なので、製造コストもエネルギーも抑えることができ、大量生産に向いています。また、非結晶シリコンなので、高温時でも発電効率が低下しにくいという特性もあります。
低照度下においても発電効率が高いことや、蛍光灯の短波長光に感度があることから、主に電卓など室内用途に活用されてきました。
アモルファスシリコン型のデメリット
アモルファスシリコン型のデメリットとしては、下記が挙げられます。
- 変換効率が低い
- 太陽光により劣化しやすく、寿命が短い
アモルファスシリコン型の一番の問題点は、発電効率が低いことです。そして、太陽光により劣化しやすく、寿命が短いため、住宅用の太陽電池モジュールにはあまり適していません。
結晶シリコン型とアモルファスシリコン型を積層させることで業界最高の変換効率を実現したハイブリッド型(HIT型)太陽電池モジュールの開発に成功した三洋電機も、かつてはアモルファスシリコン型の住宅用太陽光発電モジュールの製造に挑戦していましたが、住宅で利用できるレベルにまで発電効率を高めることができずに断念したという経緯があります。
同じように、アモルファスシリコン型の住宅用太陽電池モジュールとしてはカネカが有名でしたが、カネカも2011年11月にアモルファスシリコン型からは撤退し、三洋電機と同様にハイブリッド型太陽電池モジュールの生産へと移行しています。
アモルファスシリコン型の取り扱いメーカー
アモルファスシリコン型単体の住宅用太陽電池モジュールは普及していませんが、アモルファスシリコンと結晶シリコンを積層させたハイブリッド型(HIT型)太陽電池モジュールは、三洋電機とその親会社であるパナソニックから販売されています。
ハイブリッド型(HIT型)太陽電池モジュールは発電量あたりの価格が高いのが難点ですが、高温時でも出力低下が起きにくいというアモルファス型のメリットを生かしつつ、高い発電効率を誇るという大変優れた製品となっています。
- 三洋電機
- パナソニック(三洋電機製)
- カネカ