太陽光発電という発電方法のデメリット
ここでは、太陽光発電という発電方法のデメリットについてご説明していきます。
2012年7月からは再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行され、国をあげての普及が推進されている太陽光発電システムですが、当然、太陽光発電システムも良い点ばかりではありません。
優れた長所もあれば、その一方で解決しなければならない課題も多く存在しています。太陽光発電システムのデメリットとして挙げられることが多いのは、下記のようなポイントです。
- 発電電力量あたりのコストが他の発電方法よりも割高な場合が多い
- 夜間は発電できない上、日中も天候等の気象条件により発電量が大きく変動する
- 配電系統へ連系する場合は設備量増加に伴い系統インフラの改造が必要となる
- 設置面積あたりの発電量が集中型発電方式に比べて低い
- 発電量に関してスケールメリットが効かず規模を拡大しても発電効率が変わらない
- 高温時には、発電効率が落ちる
- 影、汚れ、火山灰・降雪等で太陽光を遮蔽されると発電効率が急激に落ちる
ここでは、それぞれの項目について詳しく説明していきます。
発電電力量あたりのコストが他の発電方法よりも割高な場合が多い
現状の太陽光発電システムの大きなメリットの一つは、発電電力量あたりのコストが他の発電方法の数倍も高いケースが多い、ということです。
電力網自体が未整備となっている途上国の一部地域などを除き、基本的に太陽光発電の発電電力量あたりコストは火力発電や原子力発電のそれを比較して高くなってしまうため、太陽光発電の普及には政府の補助金政策などが必要となるケースが多くなります。
ただし、太陽光発電システムにかかるコストは年々低減しつつあり、いち早く太陽光発電の普及・導入を進めたフランス・ドイツ・イギリスなどのヨーロッパ諸国では、2020年までには既存の火力発電とコストで競い始めると予測されています。
太陽光発電システムの技術改良、技術革新が進むにつれ、いずれ発電量あたりのコストは大きく低減し、他の発電と変わらないか、それ以上のコスト効率となることが期待されています。
夜間は発電できない上、日中も天候等の気象条件により発電量が大きく変動する
太陽光発電がどうしても解決できないデメリットの1つは、太陽エネルギーを利用した発電システムである以上、夜間は発電できない、日中でも雨天時など日照量が少ないと発電できないなど、発電量が天候という制御不可能な条件によって左右されてしまうという点です。
これは太陽光発電に限らず風力発電など他の再生可能エネルギーを活用した発電方法に共通の課題でもあります。
専門家の中には、供給量が気候条件によって変動してしまう太陽光発電システムは、安定的かつ計画的な供給が求められる「電力」というインフラサービスには適さないため、太陽光発電システム自体が発電方法の主力となることは絶対にありえないという方もいます。
配電系統へ連系する場合は設備量増加に伴い系統インフラの改造が必要となる
太陽光発電や風力発電の場合は上述のように自然の気象条件によって発電量が大きく左右されてしまうため、そのような発電量が不安定な電力を利用しつつも安定して電力を供給できる配電体制を作るためには、配電系統インフラそのものを改良しなければいけないケースなどもあります。
例えば離島などにおいては、そもそも配電系統インフラが整備されていないため、発電量が大きく変動する太陽光や風力などの発電割合が高くなってしまうと安定的な電力供給に支障がきたすため、太陽光発電システムを導入したくてもできないといった事例が既に存在しています。
こうした問題に取り組むためには、電力会社が動く必要があるので、太陽光発電システムの設置以外にも様々なコストが発生することとなります。
発電量に関してスケールメリットが効かず規模を拡大しても発電効率が変わらない
太陽光発電システムのバ場合、発電システムの規模を大きくしても、発電量に関してはスケールメリットが効かないというデメリットがあります。
もちろん、システムの設置コストなど、コストについてはスケールメリットがあるため、発電量あたりのコストという点では、大規模なメガソーラーの建設などはとても意味があります。
但し、純粋に発電量ということだけを考えると発電システムの規模は大規模であろうと小規模であろうと規模に比例した発電量しか得られないため、火力発電所や原子力発電所などと比較すると、集中型発電方式をとることのメリットはあまりありません。
しかし、これは逆に言えば太陽光発電システムは分散型、小規模の運用に向いているということの裏返しでもありますので、それぞれの発電システムの特性を活かして全体の発電効率を上げていくということが重要だと言えます。
高温時には、発電効率が落ちる
現在の太陽光発電システムの主流となっている結晶シリコン型の太陽電池モジュールは、その特性上、高温になると発電効率が落ちてしまうというデメリットがあります。
しかし、最近ではアモルファス型シリコンと呼ばれる、高温時でも発電効率が落ちない太陽電池モジュールと結晶シリコン型を組み合わせた、ハイブリッド型の太陽電池モジュールも発売されているなど、高温時の出力低下という課題をクリアした製品が徐々に普及しつつあります。
影、汚れ、火山灰・降雪などで太陽光を遮蔽されると発電効率が急激に落ちる
現在の太陽光発電システムの弱点の一つが、影や汚れ、火山灰、降雪など、太陽光を遮断されてしまうと急激に発電効率が落ちてしまうという問題です。
これも、太陽電池モジュールの一部だけが影に隠れただけで全体の出力が低下してしまうという問題を抱えており、設置する箇所によってはこの欠点が発電効率に大きく影響してしまいます。
しかし、この課題についても、最近ではCIS型(CIGS型)などシリコンを使用しない化合物系の太陽電池モジュールが登場してきており、影がかかるとその部分の発電効率は落ちるものの、モジュール全体にまでは影響しないという、影に強い製品も徐々に普及してきています。
このように、強みや特性が異なる太陽電池モジュールが多く開発され、販売されていることで、太陽光発電システムを導入する際には自宅の条件に応じて最適なモジュールを選択することができるようになってきたので、依然と比較するとシステムの機能上のデメリットはかなり少なくなってきていると言えます。