太陽光発電の価格について理解するのは難しい。
これから太陽光発電システムの設置を検討しようとしている方が一番気になるのは、太陽光発電システムを導入すると、「結局いくらかかるの？」という点ではないかと思います。
太陽光発電システムの価格については、メーカーのカタログパンフレットを見ても、インターネットで色々と検索しても、なかなか分かりやすい情報はありません。
それもそのはずです。実際に、太陽光発電システムの価格は様々な条件により変わってきますし、そもそも「費用」の話をしているのか、「投資」の話をしているのかによっても「価格」という言葉が持つ意味が全く変わってきてしまいます。
「メーカーや製品により価格が異なる」、「ソーラーパネル以外にも付属品の価格がかかる」「大事なのは価格よりも発電量（kWh）あたりの価格だ」、「補助金が出る」、「屋根のタイプにより工事費用が変わる」「売電の価格が下がる？」「太陽電池モジュールの価格はどんどん下がっている？」などなど、価格にまつわる話が多すぎてもう何が何だかわからない状態になってしまっているのです。
太陽光発電システムの価格や費用について考える上でもっとも大事なのは、太陽光発電システムの導入は、単なる買い物ではなく、ビジネスだと認識するという点です。
太陽光発電システムは、ビジネスだと考えましょう。
太陽光発電システムの費用や価格にまつわる話を整理するための前提として、まず太陽光発電システムを自宅に設置するということは、単なる買い物をするのではなく、ビジネスを始めることだと理解しましょう。
家庭は企業ではありませんから、家庭の会計である「家計」をビジネス的に捉えることは難しいと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、太陽光発電システムを導入する以上は、コスト意識や費用対効果といった考え方を理解しなければ、システムの正しい選択・運用ができなくなってしまいます。
そこで、自宅に太陽光発電システムを設置する場合でも、企業が導入するのと同じように、ビジネスを始めると考えるのです。
皆さんがこれからやることは、ソーラーパネルを屋根に設置して発電し、その電気を使うだけではありません。
新たに太陽光発電システムという設備投資を行うことで、これまでは電力会社から仕入れるしかなかった電力という商品を、自宅で生産する体制を整えるのです。
生産設備を導入する際、価格が安い設備を導入すれば、初期費用は安くて済みますが、そのぶん生産効率は落ちてしまいますので、生産できる電力の量は少なくなってしまいます。
価格が高い設備を導入すれば、初期費用は高くて済みますが、そのぶん生産効率が高くなるため、生産できる電力量が多くなり、結果として多くの利益を得られる可能性もあります。
そして生産した電力は、電力会社に販売することもできますし、自宅の運営に活用することもできます。
このビジネスの一番魅力的なポイントは、現在の制度（2012年7月からスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度）の施行期間中であれば、生産した電力のうち、自宅で使用しなかった余剰分について電力会社が長期間に渡り必ず固定の価格で買い取ってくれるという点です。
つまり、商品を作る前から、この商品を買ってくれる顧客と、買ってくれる値段、買ってくれる期間までの全てが決まっているということです。
こんなにおいしい条件ではじめられるビジネスなど通常ではありえません。
普通の企業の場合、生産する商品が売れるか売れないかも分からない中で在庫を抱えるリスクを背負いながら商品を開発します。そして商品を開発した後は必死になって買ってくれるお客様を探しに行くのです。
かりにお客様を見つけたとしても、いつまで買い続けてくれるかは分かりませんし、値引きされる可能性だってあります。
通常のビジネスは、これだけ不確実な中でも利益を出していかなければいけないわけです。
しかし、太陽光発電システムは違います。繰り返しになりますが、既に商品を必ず買ってくれる顧客がいて、買ってくれる値段も期間も決まっているわけです。
そのため、太陽光発電システムの導入は、しっかりと計画的かつ慎重に検討することで、ビジネスを始める前からこのビジネスは利益が出るのか、出ないのか、出るとしたら最初に投じた費用が回収できるのはいつ頃なのか、といったことを事前に高い精度で把握することが可能となります。
ビジネスである以上、「投資」という感覚が重要
太陽光発電がビジネスである以上、太陽光発電システムの購入は「投資」であり、問題となるのは「いくら投資したか」という点ではなく、その金額が「いつ返ってくるのか」「いくらで返ってくるのか」という点です。
極端な話、初期投資が100万円で発電効率が悪い設備を買うよりも、200万円を支払ってでも発電効率が高い設備を買ったほうが、導入後30年間で得られる利益の総額は多くなるという可能性もあるわけですね。
俗にいう「安かろう、悪かろう」では意味がないわけです。
そのため、太陽光発電システムを導入するにあたってほとんどの方は「いくらかかるのか？」ということを考えると思いますが、実は皆さんが本当に確認しなければいけないのは「いくら稼げるのか？」ということなのです。
もちろん、全ての方が経済的なメリットを理由として太陽光発電システムを導入するわけではないでしょう。
中にはCO2削減に貢献し、エコな暮らしを実現するためなら多少コストを支払ってでも構わないと考えて太陽光発電システムを導入される方も少なくないと思います。
しかし、よく考えてみればCO2の削減量は太陽光発電の発電量によって決まってくるわけであり、発電量が多ければ多いほどCO2は削減できるわけです。
そして、発電量が多いということは電気料金の削減や売電といった経済的なメリットにも直接的につながってくるわけですから、太陽光発電システムの場合は、経済的メリットを重視した選択を行うということが、そのまま環境への貢献度の高さにもつながるということなのです。
