太陽光発電システムのクーリングオフ
ここでは、太陽光発電システムとクーリングオフについてご説明していきます。万が一、悪徳業者により強引に意図しない契約をしてしまったときのことも考えて、クーリングオフに関する基本的な知識を頭に入れておきましょう。
クーリングオフとは?
クーリングオフとは、自宅への不意の訪問販売や、強引かつ執拗な営業、勧誘、虚偽の商品説明、オーバートークなどにより購入意思が曖昧なまま、もしくは購入が自身の不利益につながると気づかずに契約の申し込みをしてしまった場合、一定の期間内であれば意訳危難などの請求や説明要求を受けることなく、書面による一方的な意思表示のみで契約解除ができる法制度のことを指します。
太陽光発電システムを購入する場合でも、訪問販売にて購入をした場合、クーリングオフを適用できることがあります。
クーリングオフできる期間
クーリングオフができる期間は商品や販売方法によって異なりますが、訪問販売の場合には、特定商取引に関する法律第9条にて「書面の受領日から8日間」までと定められています。
契約書を受け取った日から数えて8日以内に書面による意思表示をする必要があるので、例えば契約書面の受領日が15日だとすれば、22日までに相手に対して書面を発信(郵便局から発送)する必要があるということになります。
なお、クーリングオフの行使について妨害(不実告知による誤認、又は威迫)があった場合には、妨害がなくなり「クーリングオフ妨害解消のための書面」を受領するまでは、クーリングオフ期間は進行しないと定められているため、業者からクーリングオフの妨害に合った場合には、契約書面の受領日から8日が経過しても、クーリングオフできる可能性はあります。
ただし、原則としては訪問販売のクーリングオフには「契約書面を受領してから8日間」という期限があるということを頭に入れておきましょう。
事前の専門家への相談、契約解除通知書面の作成なども含めると、契約後、クーリングオフをするかどうかの判断は数日以内に行わなければいけないことが分かります。
もし万が一、意図しない契約を申し込んでしまった場合には、なるべく早いタイミングで動き出すことをおすすめします。
クーリングオフの方法
クーリングオフをする上で最も重要なことは、必ず書面(クーリングオフの通知書)を発信 (郵便局から発送)することで契約業者に意思表示をする必要があるということです。
担当者に対して電話で伝えればそれで手続きをしてくれると勘違いしてくれる方も多いのですが、業者に対して電話で伝えても、わざわざ直接出向いて伝えたとしても、書面による通知がなければ、法的な証拠書類とはなりませんので、注意が必要です。
悪徳業者の中には、消費者の無知を逆手にとって、「電話をくれれば契約解除ができます」と虚偽の説明をする業者や、電話で解除の旨を伝えたらその際は「契約解除の旨を承りました」と了承しておきながら、実際にはクーリングオフの期間が過ぎるまで何も手続きを進めないといった業者も存在していますので、くれぐれも騙されないようにしてください。
また、クーリングオフを書面については、契約書類の中に「はがき」でと書いてあることもありますが、ベストなのは「内容証明郵便」を利用することです。
「内容証明郵便」とは、郵便局が、郵便物の内容や宛先、発信者、発信日時などの情報を公的に証明してくれる郵便のことを指します。
こうしておくことで業者が受け取りを拒否しても、住所が存在していなかったとしても、クーリングオフの通知を発信した事実が公的に残るので、クーリングオフの効力には影響を与えません。
このように、書面にてクーリングオフの通知を発信した時点で、法的にはクーリングオフの効力が発生することになります。
クーリングオフの妨害に注意する
ただし、クーリングオフについて上記のような基本的な知識を持っておかないと、業者によるクーリング妨害にあい、結果として契約の解除ができなかったという事態に陥ってしまう可能性があります。
具体的なクーリングオフ妨害の事例を知っておくことで、騙されるリスクを未然に防ぎましょう。
クーリングオフに関する虚偽の説明による妨害
消費者の無知を逆手に取り、虚偽の説明をすることでクーリングオフを避けようとする手口です。これらの手口は、基礎的な知識を持っておくことで対処することができます。
- クーリングオフするなら電話で担当者に伝えてくれればOKですと言われた。
- 電話したら「担当者が不在です」と繰り返され、話ができないままクーリングオフ期間が過ぎてしまった。
- 電話したら「契約解除の旨を承りました」と言われたので安心していたら、実際には手続きがされないままクーリングオフ期間が過ぎてしまった。
- その理由ではクーリングオフはできない、と言われた。
- 説明に不備はなかったので、クーリングオフはできない、と言われた。
- 値引きした事実があると、クーリングオフはできないと言われた。
- クーリングオフはできるが、違約金は個別契約なので別途かかりますと言われた。
書面のやり取りの齟齬を理由とした妨害
書面のやり取りの齟齬を理由として、クーリングオフが成立しないことをアピールしてくる業者もいます。
- はがきを送ったら、そんなものは届いていないと言われた。
- はがきの消印が契約書面から9日目になってしまっているので、クーリングオフは成立しないと言われた
- はがきの内容に不備があるので、これではクーリングオフは成立しないと言われた。
脅迫・威嚇による妨害
クーリングオフをすると自らに不利益な結果が訪れると言うことを直接的、または間接的に伝えることで、クーリングオフを避けようとする手口です。
ほとんどの場合、悪徳業者は「はったり」で強気に出ているだけで、強気で言えば何も言ってこないだろうとタカをくくっているだけなので、何を言われても動じずに手続きを進めましょう。
- クーリングオフをしたら訴訟を起こします、と脅された。
- 過去にクーリングオフに関する訴訟で負けたことはありませんし、こちらが勝訴した場合には訴訟費用も含めて全てをご負担してもらう形になります、と脅された。
- 契約すると言ったのはそちらなのだから、契約後にこちらで進めた手続きにかかった費用の全額を損害賠償してもらうと脅された。
- クーリングオフしたい旨を伝えたら、「そんなことできるわけないだろう」と大声で威嚇された。
情に訴える形の妨害
太陽光発電システムは高額な商品ですから、担当者と何度も顔を合わせた上で契約手続きを進めていくのが通常です。
そして、何度も顔を合わせるうちに、懸命に訪問してくる担当者に対して情けが出てきてしまうこともあるでしょう。しかし、そのような気持ちを逆手にとって、情に訴えかけることでクーリングオフを妨害してくるケースもあります。
- あなたのために上司と値下げ交渉を頑張ってここまで価格を下げたのに、その対応はひどいと言われた。
- クーリングオフされたら自分の社内での立場がなくなるので、お願いだから辞めて欲しいと言われた。
- もう一度お会いして話をしたいと言われたので会ってみたら、必死にお願いをされて、断れなくなってしまった。
上記のように、クーリングオフの妨害には様々な手口が存在しており、悪徳業者はこうした対応にも慣れているので、注意が必要です。
どんなことを言われても、クーリングオフは「契約書面の受領から8日以内に、書面(できれば内容証明郵便)で発信すれば、法的に効力が発生する。」ということを覚えておきましょう。
トラブルになるとすぐに「訴訟を起こす」と言ってくる業者もいるのですが、これは基本的にただの脅し文句だと思って流しましょう。
業者の立場からしてみれば、実際に訴訟を起こすとなると費用も手間もかかりますので、契約解除をされるたびにいちいち訴訟を起こすよりも、次の顧客を探したほうがビジネスとしては合理的なのです。
もちろん、万が一法的な場で争うことになっても、しっかりとしたクーリングオフの手続きを踏んでいれば、書面が客観的な証拠となって裁判を有利に進めることができます。
大事なのは、悪徳業者の態度に流されたり、弱気な態度を見せたりしないことです。彼らにとってみれば騙しやすい顧客は他にもたくさんいるわけですから、この人は法律的知識もあって交渉も面倒だと思われれば、それ以上執拗に関わってくることはなくなります。
迷ったら専門家に相談しましょう
上記のようにクーリングオフの妨害をされた場合や、自分一人で業者に対応するのは不安だと言う方は、専門家に相談するのがおすすめです。
全国の国民生活センターに相談するか、クーリングオフに強い行政書士事務所などに相談してみましょう。
内容証明郵便を送るときは、行政書士事務所などのような第三者から送られる場合と、契約者本人から送られてくる場合とでは相手の出方は変わってくることがあります。
クーリングオフに実績がある事務所の名前が入っていれば、悪徳業者も迂闊に妨害ができなくなるのです。
太陽光発電システムの場合はとても高額な商品ですので、クーリングオフの手続きを失敗するわけにはいきません。専門家の力 借りながら、慎重に手続きを進めていきましょう。