太陽光発電という発電方法のメリット
ここでは、太陽光発電という発電方法が、他の発電方法と違い、どのようなメリットを持っているのかについてご説明します。
太陽光発電には、様々なメリットがありますが、ここでは「装置としてのメリット」「設置位置のメリット」「社会に対するメリット」という3つの観点から、太陽光発電という発電システムの長所をご紹介していきます。
装置としてのメリット
太陽光発電システムは、発電に必要となる装置の面で、他の発電システムと比較して優れている点が存在します。
発電部（セル）に可動部分が無いため、発電装置の機械故障が起きにくい
太陽光発電の場合は、太陽電池モジュールの表面を太陽光に向けて設置し、固定しておくだけで発電システムとして稼働することができるため、可動システムが必要な他の発電方法などと比較すると故障リスクが低い傾向があります。
規模に関係なく発電効率は一定なので、小規模・分散型の運用に向いている
太陽光発電の場合、発電規模が大きくなればなるほど発電効率が上がるということはありません。どれだけ発電規模を大きくしても、発電量は規模に比例した形でしか増えていきません。
これは、逆に言えば発電規模を大規模にするスケールメリットがないということの裏返しでもありますので、小規模な発電システムを分散運用するという形でも全く問題ないのです。
家庭用の太陽光発電システムが一つのシステムとして成り立つ理由もここにあります。
発電時に廃棄物・排水・排気・騒音・振動など環境への悪影響がない
太陽光発電は、太陽光エネルギーを活用した発電システムなので、廃棄物や騒音、振動など環境への悪影響がなく、環境にとても優しい発電方法だと言えます。
出力ピークが昼間の電力需要ピークと重なるため、需要ピーク電力の削減に効果がある
日本における電力需要のピークとしては、時期で行くと7月～9月の平日9時～20時頃、時間帯で行くと13時～16時頃が高く、14時頃が最も高くなっています。
これは主にオフィスや工場、家庭などで空調設備が利用されるためですが、太陽光発電の場合、発電量は日照量に比例する形となりますので、季節で行けば日照時間が長い夏、そして時間帯としては昼間の時間帯という、まさに電力需要がピークに達する時期がもっとも発電量が多くなるシステムとなっています。
このように、電力需要ピークに対応した発電ができるので、需要ピーク電力の削減には大きな効果があります。
設置位置のメリット
装置としてのメリットに続いて、設置できる位置という観点から太陽光発電のメリットについてご説明していきます。
需要地に近接設置でき、送電コストや損失を最小化することができる
太陽光発電の場合、発電システムの小規模化が可能なので、電気の供給地と需要地を近接させることが可能です。（※大規模な土地が必要なメガソーラーの場合は別です。）
例えば、自宅の屋根の上に設置した太陽電池モジュールで発電した電気を自宅で使用するのであれば、電気の供給地と需要地は同じとなります。この場合、電力消費に必要な間接コストを最小化することができます。
蓄電池利用で非常用電源となりうる
太陽光発電システムの場合は、蓄電池として利用することもできるので、停電時や災害時などの非常用電源として活用することも可能です。
運搬・移動に適した小型製品がある
太陽電池モジュールは言葉通り「モジュール化」されており、一つ一つを小型のパーツとして運搬・移動することができます。
これにより、発電システムの移動や設置が非常に容易となり、他の発電方法と比較して導入スピードを早めることができます。
他の発電方式と比較して設置制限が少ない。建築物の屋根や壁面に設置できるため、土地を占有せずに設置可能
太陽光発電システムの場合、屋根や壁面などを活用して設置ができるため、土地を占有する必要はありません。
もちろん、使用されていない駐車場や空き地など、不稼働資産となってしまっている土地を利用して太陽光発電システムを導入することも効果的ですが、仮に土地がなかったとしても、屋根や壁面などのスペースを利用することで発電システムを導入することができるので、小資本でも発電をスタートすることが可能となっています。
これも、他の発電方法には実現できない大きなメリットの一つだと言えます。
社会に対するメリット
最後に、社会に対するメリットという観点で、太陽光発電がもたらす社会的価値についてもご説明しておきます。
構成材料の大部分がリサイクル可能
太陽光発電システムの特長は、発電システムに必要となる構成材料の大部分がリサイクル可能だということです。
例えば現状販売されている太陽電池モジュールの寿命は一般的に20年～30年程度と言われていますが、実際には30年ほど経過した太陽電池モジュールでも新品時と比較して発電効率は80％ほどを維持しているなど、少し改良と修理を施すだけで利用することが可能な ケースも多くあります。
そのため、既に太陽電池モジュールのリサイクル・リユース業者なども存在しています。
他にも多結晶シリコン型の太陽電池モジュールの場合、他のシリコン半導体製品の端材や、オフグレード品（規格外品）のシリコン原料を活用して製造することができるなど、リユース材料を活用して製造することができるなど、太陽光発電システムそのものが、リユース、リサイクル可能なシステムになっているというメリットがあります。
エネルギー自給率を向上させる
太陽光発電システムは、太陽エネルギーという、ほとんどの国に平等かつ半永久的に降り注いでいる再生可能なエネルギーを活用した発電システムなので、どの国でも取り組み次第でエネルギー自給率を向上させることができます。
エネルギー自給率を向上させ、化石燃料など、輸入が必要な原料を利用する火力発電などの発電比率を低くしていくことは、エネルギー安全保障の観点から考慮してもとても有効です。
電力の地産地消ができることは、地球環境の保全やエネルギー輸送コストの低減、安全保障など様々な観点から意味があることだと言えます。
発電時に温室効果ガスを排出せず、設備製造等での排出も比較的少ない
太陽光発電の大きなメリットの一つが、発電時に温室効果ガスを排出しない、という点です。現在の発電のメインとなっている火力発電は、発電時に大量の温室効果ガスを排出するため、地球温暖化の原因として課題に挙げられています。
地球温暖化は、人類全体に大きな損害をもたらす問題であるため、発電設備の製造過程や発電過程で温室効果ガスが発生しない発電方法へのシフトは、日本だけではなく全世界的な取り組みとして重要になってきています。
その1つの解決手段として長年注目され続き、近年ようやく欧米や日本を中心に普及が進んできたのが太陽光発電なのです。
