オール電化とは・オール電化のメリット・デメリット
ここでは、オール電化とはそもそもどのような仕組みなのか、オール電化のメリット、デメリットなどについてご説明していきます。
太陽光発電システムとオール電化をセットで導入するかどうかを考える上では、オール電化自体についての正しい知識を持っておくことが重要となります。
オール電化について詳しく知らない方は、ぜひ参考にしてください。
オール電化とは
オール電化とは、家庭内で用いる全てのエネルギーを電気に統一し、調理や給湯から空調までシステムの全てを電気によってまかなうことを指します。
一般的には給湯や調理にガスを使用している住宅も多いと思いますが、オール電化の場合にはそれらも全て電気で行うことになります。
オール電化住宅に必要なる機器としては、下記が挙げられます。
- 給湯:エコキュート
- 調理:IHクッキングヒーター
- 冷暖房:エアコン、蓄熱式電気暖房機、床暖房システム
これらの機器を利用することで、ガスを一切使用せずに、電気だけで住宅のエネルギーシステムを供給するのがオール電化です。
ガスによる火を住宅内で使用しないため、火災リスクが減ることから、住宅ローンの金利優遇を行う金融機関や火災保険の特別割引を行う保険会社なども存在しています。
最近ではオール電化の新築マンションなども増えてきており、「光熱費の削減」や「省エネルギー」「安全」などの謳い文句で徐々に普及してきています。
オール電化の仕組み
オール電化の仕組みとしてもっとも重要な点は、電気料金が安い深夜の電力を使用するという点です。オール電化のシステムの中で特に鍵を握るのがエコキュートによる給湯です。
エコキュートの場合は、電気料金が安い深夜電力を利用してお湯を沸かします。そして、深夜に沸かしたお湯を給湯機に貯めておき、日中や夜間はそのお湯を使用する形になります。
オール電化を導入する場合は、一般的には「時間帯別電灯」という、時間帯によって電力単価が変わる電気契約を電力会社と結びます。
時間帯別電灯とは、2~3段階の単価が設けられます。3段階の場合は深夜時間帯が8~9円/kwh前後と最も安く、早朝~10時前後と夕方~真夜中前後が従量電灯と同程度の23円/kwh前後、正午前~午後3時前後までが最も高い30円/kwh前後となる場合が多くなります。
通常の従量電灯と比較すると、深夜帯の電気料金が安くなる分、正午前~午後3時前後にかけては割高となります。
時間帯別電灯の場合は電力需要に併せて料金が大きく変わる仕組みとなっているため、使用電力が非常に少なくなる深夜帯はとても電気料金が安くなります。
オール電化は、この安い深夜電力を活用して安くお湯を沸かしておき、それを日中・夜間に利用することで電気代の節約につなげる、という仕組みになっています。
オール電化のメリット
オール電化の代表的なメリットとしては、下記が挙げられます。
- ガスの基本料金がなくなり、電気料金に一本化することができる。
- 深夜電力を用いる場合、ガスや灯油よりも安く給湯することができる。
- 住宅内でガスコンロなど火を扱わないため、火災の危険性が低くなる。
- 電気暖房や電気調理器具は加熱時に一酸化炭素が発生しないので、換気の必要性がなく高気密高断熱住宅には適している。
- 災害時や停電時など、エコキュートの貯湯タンク内のお湯を利用できる。
オール電化を導入することのメリットとしてまず真っ先にコスト面を挙げる方も多いのですが、実際にはオール電化の導入によりガス料金がなくなることで、必ず光熱費が削減するというわけではありませんので、注意しましょう。
オール電化の場合、電気料金が安い深夜帯の電力を活用することでガスや灯油よりも給湯コストを下げることができるものの、貯水タンクの容量や、お湯の使用量によっては深夜帯の電力だけでは一日に使用するお湯の量に満たない場合もあります。
そうした場合、電気料金が高い時間帯に電気を買ってお湯を沸かさなければいけなくなるため、そのぶん電気料金は高くなることにもつながります。
逆に、地方にお住いの方でプロパンガスを利用しており、家族が多く光熱費が多くなりがちなご家庭の場合には、プロパンガスの単価は高いため、オール電化を導入することによるメリットを受けやすいかもしれません。
オール電化を導入することでどれだけの経済的なメリットを得ることができるのか。それは現状の電気やガスの使用状況によっても異なりますので、専門業者にアドバイスを聞いてみるのが良いでしょう。
また、オール電化には経済的なメリット以外にも、火災の危険性がなくなる、一酸化炭素が発生しないので換気の必要性がない、など付随するメリットもあります。
オール電化のデメリット
次に、オール電化のデメリットを見ていきましょう。オール電化の代表的なデメリットとしては、下記が挙げられます。
- IHクッキングヒーター・エコキュートはガスコンロ・ガス給湯器と比較すると導入費用が高い。
- エコキュートが深夜から朝方にかけてお湯を沸かす際に、騒音問題が発生することがある。
- エコキュートで貯湯できる量には限界があるため、お湯を使用しすぎると湯切れを起こしてしまう。
- 湯切れを起越した場合、日中の高い電気料金でお湯を沸かす必要があるため、光熱費が高くなる。
- IHクッキングヒーターは直火ではないため調理が限定されてしまう。
- 電力だけに依存しているため、停電すると何もできなくなってしまう。
オール電化のデメリットとして挙げられるのは、使い方によってはガスを使用している場合よりも光熱費が高くなってしまうという点です。
オール電化により光熱費を削減するためには、電気料金が安い深夜帯の電力を利用して給湯などをしつつ、電気料金が高い日中はできる限り電気を利用しない、という生活スタイルが重要になります。
逆に、日中に多くの電気を使用したり、給湯しておいたお湯以上のお湯を利用したりしてしまうと、オール電化のメリットはデメリットに変わってしまいますので注意が必要です。
これは、オール電化と太陽光発電の相性が良いと言われる理由でもあります。太陽光発電システムを利用することで日中は自家発電ができるため、電力会社から電気を買う必要がなくなるからですね。
また、付随するデメリットとして、エコキュートが発する深夜帯の騒音の問題や、IHクッキングヒーターの利便性などを挙げる方もいらっしゃいます。
オール電化を導入する場合には、こうしたデメリットの部分についてもしっかりと把握した上で慎重に検討するのがよいでしょう。