太陽光発電システム導入費用の相場価格
これから太陽光発電システムの設置を検討しようとしている方が一番気になるのは、太陽光発電システムを導入すると、「結局のところいくらかかるのか?」という点ではないかと思います。
太陽光発電システムを導入する上では、様々な費用がかかりますが、その初期費用の内訳を分かりやすく整理すると、下記のようになります。
■太陽光発電システム導入費用の項目例:
太陽光システム費用 | ソーラーパネル(太陽電池モジュール1枚あたりの価格×設置枚数) |
パワーコンディショナ | |
電力モニタ | |
その他付属品(接続箱・ケーブル・リモコン・分電盤など) | |
施行・工事費用 | 設置架台 |
架台設置工事費用 | |
ソーラーパネル設置工事費用 | |
電気配線工事費 | |
業者の値引き | 値引き費用 |
補助金 | 補助金 |
太陽光発電システムの設置には、大きく分けてシステムそのものの費用と、そのシステムを設置するのにかかる施工費用の2つがあります。そしてその合計金額から施工業者による値引きや補助金をあてられる金額を差し引いた金額が、最終的に負担しなければならない導入費用となります。
しかし、太陽光発電システムを導入する際に意識しなければいけないのは、実際の導入費用の「高い」「低い」だけで判断してはいけないということです。
もちろんできる限り安い費用で導入したいという気持ちは分かるのですが、大事なのは最初の導入費用をいくらに抑えられたかではなく、長期的な太陽光発電を通じて最終的にどの程度の期間で初期費用を回収することができ、利益に転換させていけるのか、という点です。
例えば、太陽光発電システムそのものの価格の場合、当然ながら発電効率が高い太陽電池モジュールの場合は価格も上がりますし、変換効率が高いパワーコンディショナも価格は上がります。
基本的には高性能であればあるほど価格は高くなるのです。しかし、たとえ価格が高かったとしても、そのぶん効率的に発電が行えることで多くの発電量を確保きるのであれば全く問題はないわけです。
その逆に、導入費用も安い代わりに発電効率も悪く、初期投資を回収するまでに30年もかかってしまうという話では意味がありませんね。
そして、これは施工費用についても同じことが言えます。施工についても、安い業者に頼んで手抜き工事をされたのでは、後になって故障の原因となったり雨漏りが発生したりと結局余計にコストがかかる結果を招いてしまいかねません。
もちろん導入費用を抑えられるに越したことはないのですが、太陽光発電システムを導入する際には、費用の絶対額の大小だけではなく、「費用対効果(費用に対してどれだけの効果が得られるか)」という観点を意識してメーカーや製品、施工業者を選定することが重要です。
太陽光発電システムの価格を比較する基準として便利な「kW単価」
上記のように、費用対効果を意識して太陽光発電システムや施工業者の見積りを比較する際に便利なのが「kW単価」という指標です。
「kW単価」とは、太陽光発電システムの導入により得られる発電量1kWに対していくらの費用がかかっているかということです。
太陽光発電システムの価格を比較する際には、価格の絶対額ではなくこの「kWあたりの単価」を比較するのが一般的となります。
「kW単価47.5万円・55万円」が一つの基準
太陽光発電システムの価格相場を考える上で一つの基準となるのが、「kW単価47.5万円」「kW単価55万円」という数字です。
実は、この数字はJ-PEC(太陽光発電普及拡大センター)が交付している補助金の対象が、下記のように定められているところからきています。
- kW単価が3.5万円を超えて47.5万円以下の場合、1kW当たり3.5万円の補助金
- kW単価が47.5万円を超えて55万円以下の場合、1kW当たり3万円の補助金
上記のような基準が用意されていることによって、太陽光発電システムの販売店は販売価格の「kW単価」をこの基準以下に収まるように提案するのが一般的となっています。
なぜなら、そうしなければ補助金の対象とならないので、お客様が太陽光発電システムを導入してくれないからです。
もちろん、導入するシステムの性能や住宅の条件(設置条件が悪く、工事費用がかさむ)などによっては、どうしても補助金の対象となる「kW単価47.5万円/kW単価55万円」の基準より価格が高くなってしまうケースもありますが、もし販売業者からの見積りが上記基準よりも高くなっている場合には、その費用の内訳をしっかりと確認するか、別途専門家に確認してみることをおすすめします。
そもそも補助金の交付対象に価格制限が設けられたのは、悪質な販売業者によって不当に高い価格で太陽光発電を販売されるという被害が多く発生していたからです。
そのため、現在では特殊な工事などが必要でもない限り、一般的には上記基準に収まる価格で太陽光発電システムを導入することができるようになっているのです。
尚、この補助金交付対象となる基準価格は、今後低下する可能性があります。
昨今の技術開発による太陽電池モジュールの製造コスト低下と供給過剰を原因として、太陽電池モジュール自体の価格が大きく低下してきているためです。
太陽電池モジュール自体の価格が低下してくると、補助金交付対象となる基準価格も下がりますが、そもそもの補助金額自体が下がる、もしくは撤廃される可能性もありますので、そのことだけは頭に入れておきましょう。
太陽光発電システム導入費用の相場
それでは、これらの情報を踏まえて太陽光発電システムの導入費用の相場を考えてみましょう。
通常、太陽光発電は年間電力消費量の70%~90%程度を発電することができれば日中の消費電力をカバーすることができると言われています。
太陽光発電協会の試算によれば、一世帯あたりの年間総消費電力量は5,650kWh/年となっているので、その70%程度を太陽光発電でまかなうと考えると、約4,000kWhとなります。
つまり、導入の目安としては、基本的に4kWの発電能力があるシステムを設置すればよいということになります。
補助金の基準に沿ってkW単価は55万円だと考えると、1kW当たり3万円の補助金が出るわけなので、補助金を差し引くとkW単価は52万円となります。
すると、太陽光発電システムの導入価格相場としては、
4kW × 52万円(55万円-3万円)= 208万円
となりますね。
同じように考えると、発電量の規模が3kWであれば、156万円、3.5kWであれば182万円となります。相場としては、導入費用が150万円~200万円程度に収まるのが一般的なケースだと考えましょう。
あとは、設置後の発電量や電気料金、売電量をシミュレーションの上、初期導入費用が回収できるどの程度の期間がかかるのかを把握し、妥当性を判断するとよいでしょう。