家庭用蓄電池のデメリット
太陽光発電システムと家庭用蓄電池を組み合わせることで様々なメリットを得ることができる一方で、現状の蓄電池にはいくつかのデメリットも存在しています。
代表的なデメリットとしては、下記が挙げられます。
- 価格が高い
- 大きな設置スペースが必要
- 売電と電気代削減の経済的インパクトの違い
それぞれ詳しく説明していきます。
価格が高い
家庭用蓄電池の最大のデメリットは、価格が非常に高いということです。
蓄電池の価格は年々低下してきている傾向にはありますが、それでも1kWhあたり30万円~50万円程度の金額がかかり、価格としては150万円~400万円程度が相場となっています。
加えて、蓄電池は太陽電池モジュールほど期待寿命も長くなく、一般的には10年程度の寿命となっているので、初期投資を長期的に回収するということもできません。
いくら電気代を節約しようと、売電量を増やそうと、初期の購入費用を考えると経済的なメリットを期待するのはかなり厳しいと言うのが現状です。
大きな設置スペースが必要
家庭用蓄電池は、屋内用のものと屋外用のものがありますが、いずれにせよ設置にはスペースが必要となります。蓄電池のサイズ自体がかなり幅をとるため、大きな設置スペースを用意しなければいけないという点もデメリットの1つです。
売電と電気代削減の経済的インパクトの違い
家庭用蓄電池の宣伝文句の一つとして、「太陽光発電により得られた電力を蓄電して夜間に使用できるので、夜間の電気料金を削減できる」というものがあります。
しかし、この宣伝文句には一つだけ抜けている点があります。それは「売電」による収入については考慮されていないということです。
2012年7月からスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、2012年7月現在、太陽光発電により得られた電力は42円/kWhで電力会社に売電することができます。
電力会社や時間帯・プランによっても変わってはきますが、この42円/kWhという価格は通常の電気料金の2倍程度に相当する価格です。
つまり、現状の制度においては太陽光発電システムで得られた電力を使用して電気代を節約するよりも、その電力を売電に回してしまったほうが圧倒的に経済的なメリットが大きいのです。
そのため、エコロジーな暮らしを実現するためにできるかぎり消費電力における自家発電比率を100%に近付けたいという考えを持っている方であれば別ですが、経済性を重視するのであれば購入価格だけでなく運用面を考慮しても、わざわざ蓄電池システムを導入する理由は見当たらなくなってしまいます。
まとめ
上記のように、現状では蓄電池システムに経済的なメリットを期待することはできません。
太陽光発電システムの導入を検討されている方の中には経済的メリットを理由としている方も多いと思いますが、そのような方には蓄電池システムはまったくおすすめできません。
蓄電池システムは、あくまで緊急災害などによる停電時の備えと考えるのがよいでしょう。