太陽光発電システムとオール電化を組み合わせるメリット・デメリット
ここでは、太陽光発電システムとオール電化を組み合わせるメリットとデメリットについてご説明していきます。
太陽光発電システムとオール電化を組み合わせるメリット
「オール電化とは?」でご説明した通り、オール電化が強みを発揮する上で重要なのは、電気料金が安い深夜帯の電気を活用し、電気料金が高くなる日中はできる限り電気を使用しないという点です。
エコキュートにより深夜にお湯を沸かして貯湯タンクに貯めておき、日中は深夜に沸かしたお湯を利用するという仕組みによりこれを実現しようとするのがオール電化なのです。
そのため、貯湯タンクに貯めておいたお湯だけでは日中のお湯の使用量を賄うことができず、結局は電気料金が高い日中の電気を利用してお湯を沸かさなければいけなくなる場合や、小さいお子様が多い大家族など、日中の電気料金がかさむ場合には、オール電化を導入することでガス料金がなくなったとしても、それだけで経済的なメリットを得ることは難しくなってしまいます。
しかし、繰り返しになりますがオール電化で得をするポイントは、電気料金が高い日中の電気をできる限り使用しないという点なので、日中だけ自家発電をすることができる太陽光発電システムとの相性はとても良いと言えます。
オール電化の場合、深夜帯の電気料金は8~9円/kwhととても安くなりますが、日中、特に電力需要がピークとなる正午から午後3時ごろは30円前後/kwhとかなり高い電気料金が高くなってしまいます。
そのため、日中の電力は太陽光発電システムで発電し、自家発電した電力だけで日中の電力を賄うことができれば、オール電化と太陽光発電システムを組み合わせることで、電気料金が安い時間帯だけの電力を利用する仕組みが出来上がることになります。
こうすることで、ガス料金も支払う必要がなくなる上、電気料金も最小限に抑えることができるため、光熱費を大幅に削減することができるようになります。
太陽光発電システムとオール電化を組み合わせるデメリット
しかし、上記で説明したメリットが、経済的にみて本当にメリットなのかどうかを一概に言うことはできません。
なぜなら、上記の説明には太陽光発電システムにより発電した余剰電力を電力会社に売ることができる、「売電」という仕組みから得られる売電収入が考慮されていないからです。
2012年7月~2013年3月までに太陽光発電システムを導入した場合、固定価格買取制度により42円/kwhで買い取ってもらうことが可能になっています。
日中に電力会社から電気を買う場合、高くても30円/kwh前後なわけですが、太陽光発電システムで得た電力を日中の電力として使用する場合、実際には売電価格である42円/kwhの電力を使用しているとの理論上は同じことになるのです。
本来、発電した電力を利用せずに余剰電力として売電することができた電気を自宅で使用するために利用するということは、それだけ売電収入が減ってしまうことにつながるわけですから、光熱費の削減よりも売電収入の減少による機会損失が大きくなってしまう場合、トータルで見れば得をしているとは言えないわけですね。
そして、現状の売電価格を考える限りは、どう考えても光熱費の削減よりも売電収入のほうが経済的なインパクトは大きいわけですから、オール電化により光熱費を削減するために、太陽光発電システムで発電した電力を利用するというのは経済的なメリットだけを考えれば優れた選択とは言えないのです。
それであれば、むしろオール電化ではなく電気とガスを併用し、そもそもの電気使用量を少なくすることでより多くの電力を売電に回したほうが、最終的に得られる利益は大きくなる可能性があるわけです。
もちろん、ガスを契約する場合には別途ガスの基本料金や使用料金がかかりますので、その分の費用負担は生じるわけですが、ガス料金を支払ってでも自家発電した電力は最大限余剰電力として売電に回したほうが結果的な利益は多くなるケースは十分にありますので、 経済的なメリットを理由としてオール電化と太陽光発電システムの組み合わせを検討している方は、一度様々なプランでシミュレーションを立ててみて、自宅のエネルギー利用状況下ではどのような組み合わせがもっとも効率的なのかを慎重に検討してみましょう。