パワーコンディショナーとは
パワーコンディショナとは、太陽電池モジュールが発電した電力を、直流電力から家庭で利用できる交流電力へと変換する装置のことを指し、インバータの一種となります。
パワーコンディショナがなければいくら太陽電池モジュールで発電をしたとしても家庭でその電力を使用することはできませんので、太陽光発電システムにおいてとても重要な役割を果たしています。
パワーコンディショナもメーカーによって個性があり、それぞれ特徴は異なっていますが、基本的には太陽電池モジュール(ソーラーパネル)と同様のメーカーのものをセットで購入する形になります。
また、1つのメーカーが複数のタイプのパワーコンディショナを販売していることもありますが、この場合には設置する太陽電池モジュールの最大出力や、住宅の設置環境に応じて選択することになります。
パワーコンディショナは、災害などにより停電してしまった際にも、太陽光さえあれば日射量に応じて発電した電力を非常用電源として使用することができます。
もちろん、出力合計の最大は1500Wなどのように決まっているため、ずっと使い続けることは難しいものの、それでも災害時には電気が少しでもあるかないかでは雲泥の差となりますので、その意味でもパワーコンディショナは重要だと言えます。
パワーコンディショナの選び方
パワーコンディショナを選ぶ際に確認するべきポイントは複数ありますが、その中でも特に重要なのは下記の5つのポイントです。
- 変換効率
- 定格出力
- 価格
- 音の大きさ
- 設置場所(屋内・屋外)
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。
変換効率
パワーコンディショナの良し悪しを判断する上でもっとも重視したいのは、この「変換効率」です。パワーコンディショナの変換効率とは、太陽電池モジュールで発電された直流電力を、パワーコンディショナが家庭で使用できる交流電力に変換する際の効率のことを指します。
パワーコンディショナの変換効率が高ければ高いほど、電力計などで計られる発電量も多くなり、家庭内で使用できる電力が増えます。
逆に変換効率が悪いと、いくら太陽電池モジュールの発電効率が高くても、多くの電力をロスしてしまいます。
各メーカーが販売している太陽電池モジュールの発電効率だけで良し悪しを判断してはいけないと言われる理由はまさにここにあります。
最終的に得られる電力は、太陽電池モジュールの発電効率だけでなくパワーコンディショナの変換効率にも左右されるので、太陽光発電システムの導入を検討する際には、太陽電池モジュールだけではなく、システム全体としての効率性を比較する必要があるということです。
ちなみに、2012年2月現在、日本でもっとも高い変換効率を誇るパワーコンディショナを販売しているのは三菱電機のパワーコンディショナで、電力変換効率97.5%を実現しています。
他のメーカーが販売しているパワーコンディショナの変換効率は、93%~96%前後が一般的となっています。
定格出力
定格出力とは、パワーコンディショナの出力可能な電力値のことを指します。パワーコンディショナの容量のことですね。
基本的に、接続している太陽電池モジュールの定格出力は、パワーコンディショナの最大定格出力以下となっている必要があります。
例えば、太陽電池モジュールの定格出力が4.5Wだったとしても、パワーコンディショナの定格出力が4Wだとすると、4W以上の電気を使用可能な形に変換することはできません。それ以上の電力をいくら発電しても、その電力は捨てるしかないのです。
メーカーによっては、パワーコンディショナの定格出力よりも出力が多い太陽電池モジュールを接続できることもありますが、これは、太陽電池モジュールの最大定格出力が、実際の設置条件では満たされることがほとんどなく、結果として発電量がパワーコンディショナの定格出力以内に収まることが想定されているためです。
いずれにせよ、パワーコンディショナの定格出力以上の電気を使用したり売電したりすることはできませんので、発電量を増やすためには、太陽電池モジュールの定格出力や発電効率はもちろんですが、それだけでなくパワーコンディショナの変換効率や定格出力を増やす必要があるということです。
一つのパワーコンディショナでは太陽電池モジュールの最大出力に満たない場合には、複数のパワーコンディショナを設置することで対応していく形となります。
価格
パワーコンディショナの価格は、定格出力の大きさによって変わってきます。当然ながら、定格出力が大きいパワーコンディショナは、その分価格も高くなります。
定格出力は設置する太陽電池モジュールの出力によって変わってきますので、太陽電池モジュールの設置枚数が多く、最大出力が大きい場合には、必然的にパワーコンディショナの価格も上がると考えましょう。
もちろん、パワーコンディショナの価格が上がっても、その分発電量は多くなるわけなので、初期費用の多さ・少なさではなく、投資の回収スピードで比較検討をすることが重要です。
音の大きさ
パワーコンディショナは、製品によっては起動時の音や、運転中の冷却ファンの高周波音が鳴ることがあります。
パワーコンディショナの音は基本的にとても小さな音であり、ほとんどの方にとっては気にならないと思いますが、音に敏感な方の中には、パワーコンディショナの運転音に不快感を覚える方もいるようです。
最近では、京セラが販売しているパワーコンディショナのように、通気性を高めることで冷却ファンを使用せず、とても静かに運転する製品なども出てきています。
特に、パワーコンディショナの高周波音を、子供が嫌悪するという声が多いので、子供をお持ちのご家庭の場合には、設置する場所や製品を慎重に検討したほうがよいかもしれません。
設置場所(屋内・屋外)
パワーコンディショナには、屋内設置タイプのものと屋外設置タイプのものがあります。
一般的には屋内に設置するタイプが主流のため、部屋のインテリアと調和するように、小型化し、外形のデザインにもこだわったパワーコンディショナを各メーカーが発売しています。
屋内に設置する場合、設置する場所は配線の都合上、ブレーカーの近くに設置することが多いようですが、ブレーカーや玄関やトイレ付近、洗面所などに設置されていることが多く、部屋の間取り構造とブレーカーの位置によっては屋内への設置が適さない場合もあります。
屋外に設置する場合には、屋外設置タイプのものを使用する場合と、屋内設置タイプのものと、屋外設置用のパワーコンディショナ収納箱をセットで購入し、設置することになります。
屋外に設置する場合には、雨風や直射日光が当たる場所は避け、風通しの良い場所に設置します。また、そもそも塩害がある地域などは、屋外に設置することはできません。