架台とは
架台とは、太陽電池アレイを屋根の上に設置する際に、アレイを支える役割を果たす骨組みのことを指します。
太陽光発電システムを設置する際には、太陽光発電モジュールの発電効率やコストばかりが注目されており、この架台についてはあまり注目されることはありませんが、太陽光発電システムが長年に渡り安定的に稼働するためには、この架台がとても重要な役割を果たしており、システムの寿命や減価償却期間にも大きく関わってくるのです。
太陽光発電システムを設置する場合、屋根の形態や設置する方角、設置角度などの条件はもちろん、日照条件や気候、温度、塩害、雪、強風など様々な自然条件によってもベストな設置方法は変わってきますが、それらの条件に左右されず安定的にシステムを稼働させ、 長年の運用にも耐えうるシステムを設置する上では、架台の材質や耐久性などが重要になってくるのです。
また、架台を屋根に取り付ける作業では、屋根に施されている防水処理を貫通するビスやアンカー等で実施されるため、貫通部の防水処理法に問題があると、設置後の雨漏りの原因となることなどもあります。
これらを踏まえて、太陽光発電システムの架台にとって重要な要素を整理すると、下記の3つとなります。
- 耐熱性・耐寒性
- 耐久性・耐候性
- 防水性
太陽光発電システムには、太陽光発電モジュールの製造メーカーだけではなく、太陽光発電システムに適した架台のメーカーや、架台メーカーに上記の特性に優れた素材を開発して提供するメーカーなど、様々な企業が関わっています。
架台を設置する必要がない太陽電池モジュールも出てきた
現在普及している太陽電池モジュールのほとんどは、硬く重量もあるため架台を設置するのが一般的ですが、重量のある太陽電池モジュールを支えるためにはしっかりとした架台が必要であり、屋根にかかる負荷が大きくなり、面積が広い屋根に大規模にシステムを設置する際には、屋根や屋上部分の補強が必要となるケースもありました。
また、屋根が重くなると、住宅全体の重心が下から上に移動するため、地震により住宅が揺れやすくなり、耐震性の観点からも望ましくありませんでした。
各メーカーとも太陽電池モジュールの軽量化を目指したり、面積当たりの発電効率を上げ、少ない太陽電池モジュール枚数でも十分な発電量を得られるようにすることで太陽電池アレイの軽量化を目指しています。
しかし、現在ではこのように太陽電池モジュールを軽量化するという方法とは全く別の方法で、架台を設置しなくても太陽光発電システムを設置することができる、屋根建材一体型の太陽電池モジュールなども登場しています。
新築時に太陽光発電システムを設置する際には、屋根建材一体型の太陽電池モジュールが徐々に一般的にとなってきています。
また、最近では従来の架台でもなく、屋根建材一体型でもない、ユニークな商品も登場してきています。
たとえば三菱化学が2010年2月に発表した軽量太陽電池モジュール「ジオアシートPV」では、アモルファスシリコン型の薄膜太陽電池と、樹脂製の屋根用防水シートを一体化したシート型のモジュールとなっています。
「ジオアシート」は厚さが2.7mmと大変薄く、1平方メートル当たりの重量も約3kgと大変軽いため、面積が広い屋根でも補強工事などをする必要なく設置することが可能になっています。
また、太陽電池モジュール自体が防水シートと一体化しているため、屋根の防水工事の一環として太陽電池モジュールを設置するといったような新たな用途も生み出しています。
「ジオアシートPV」は現状、産業用太陽電池モジュールに用途が限られているものの、このように太陽電池モジュール自体の技術革新が進むことで、将来的には架台なしのモジュールが一般化していく可能性もあるでしょう。